※2015/07/01更新
草は高めに刈るのがいい?
三か月予報では七月になっても曇りの日や雨の日が多い見込みとなっております。
アグリズユーザーの皆様のお住まいの地域ではお天気はいかがですか?
稲作の大敵、斑点米カメムシ類の防除に関する静岡県農林技術研究所の研究結果をもとにご紹介したいと思います。
斑点米カメムシ類ってナニモノ?
斑点米カメムシ類と一口にいっても、種類は様々。
クモヘリカメムシ、ホソハリカメムシ、トゲシラホシカメムシ、シラホシカメムシ、イネカメムシなどがいます。
餌の好みはカメムシの種類によってことなりますが、
斑点米カメムシ類はイネ科植物を好むところが共通しています。
カメムシ類が水稲のモミに口針を突刺して吸汁することにより、吸汁痕の周辺が斑点状の褐色に変色し斑点米になってしまいます。
斑点米カメムシ類の水田内での防除を考える場合にはスタークルやキラップが薬剤の登録があります。
斑点カメムシ類の住処
斑点米カメムシ類は山林や水田付近の雑草地、休耕田などで成虫越冬し、春になるとイネ科の雑草などにとりつきます。
さらに気温が上がると活動が活発になり7月〜8月にかけて水田のイネが出穂すると、より美味しい餌を求めて水田に侵入してきます。
水田と隣接する畦畔は、侵入してくる斑点米カメムシの直接の生息地や増殖地になりやすく、
畦畔の雑草の管理が初期防除の重要なポイントになります。
草刈りとイネ科雑草の関係
畦畔は雑草の根系によって土壌を保全している一面があり、土壌表面が露出すると、雨により土壌の流亡や畦畔の崩壊を招く危険もあります。
そのため畦畔は雑草の地上部のみを除去するの除草管理が基本です。
イネ科雑草の地上部を刈り取り出穂を抑制すること はカメムシ類の抑制には 有効 なのですが、それによってイネ科雑草が枯死するわけではありません。
通常の植物の成長点が茎の先端にあるのに対して、イネ科植物は茎が短いため成長点の位置が低く、地際にあります。
イネ科植物は草刈りによって成長点が傷つくことが少なくダメージを受けにくいのです。
芝生は何度刈っても生えてきますね。
刈りこむほどに雑草が排除されて芝の生育が旺盛になるのと同じように、
草刈りに弱い雑草が淘汰されていきます。
草刈りに強いイネ科雑草が生き残り、草刈りの間隔が空いてしまったり、適切な時期に行われないと、
イネ科雑草の出穂を抑制できず、斑点米カメムシ類の発生を助長することになりかねません。
畦畔の植生をコントロールする刈り方
イネ科雑草の蔓延を抑制するためには草刈りの刈高さを上げ、草刈に強いイネ科雑草の優占度を下げる方法をお勧めします。
地際から約10センチほど刈高を上げることで摘心されて広葉雑草が横に広がり、畦畔の植生を多様化させ、 一年生イネ科雑草の抑制が期待できます。
(イネ科ではなくキク科などの広葉雑草が占有している場所では注意が必要です)
ただし高刈をした場合の景観は、意図的に刈り残しがあり、見た目に美しくないため、
好まれない方も多いかもしれません。
しかしながら、葉を地面から浮かせて行う高刈は、小石などの異物が回転歯に当たり飛散することが少ないため
刃の消耗を防ぐ効果があり、安全性も高いと言えると思われます。
地際からごっそり刈るのでなければ、 刈払機の排気量も抑えられるため、
軽量な刈払機を選べるのではないでしょうか?
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