もう迷わない!動噴(動力噴霧器)の選び方。

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まいどです!

さてさて本日は動力噴霧器、通称”動噴”の選び方についてです。
動噴って選びに難くないですか??

機械に詳しい方でないと、スペック(能力)表だけ見て自分の作業用途にマッチした動噴を選ぶ事って意外と難しいと思います。
特に初めて動噴を購入される方にとっては「給水量30L/m」とか言われてもよく分からなくて困りますよね。

というわけで、失敗しない動噴の選び方、解説しちゃいます。

今回はモデルケースとして、検討する項目の多いエンジンセット動噴でご説明していきますね!

セット動噴の選び方をマスターすれば殆どのシーンで動噴選びに困らなくなりますよ!

 

 作業環境を明確にしよう!

メーカーやスペックの比較は二の次です。

まずは最初に防除作業を行う作業環境を明確にしていきます。

ポイントは4つ。

・使用するノズル

・使用するスプレーホースの長さ

・圃場の高低差

・使用人数

この4つのポイントが明確になっていないままに動噴を選ぶと伸ばせるホースの長さが足りなかったり、思ったような噴霧が得られなかったりと高確率で失敗します。

今回は以下の作業環境を想定してみました。

・使用するノズル:アルミズーム墳口(圧力1.5MPa、吐出量5.8L/分)

・使用するスプレーホースの長さ:100m×2本

・圃場の高低差:50m

・使用人数:2人

では、これをベースに動噴の選定を行ってみましょう。

 

必要水量と吐出量を計算しよう!

動噴のスペック表には必ず「給水量」の記載があります。

今回は吐出量が毎分5.8Lのノズルを2本(二人分)使用するので、毎分11.6L以上吐出できるスペックの動噴が必要です。

メーカーサイトを覗いてみましょう。

上のメーカーHPの画像ではHPE1731は毎分12.7L、HPE3040は毎分22.0L、HPE4040は毎分30.2Lとなっていますね。

この給水量は一分間に動噴のポンプが汲み上げることが出来る薬液の量なのですが、注意しなくてはならないのはあくまでも「給水量」であって「吐出量」ではない点です。

動噴の仕組み上、10L給水しても10L吐出できません。給水量のうち20%は余水として薬液タンクに戻す必要があります。

HPE1731なら吐出量は12.7L×80%で毎分10L程度です。なので今回使用する毎分5.8L吐出のノズル2本で11.8Lを吐出するには給水量が足りません。

ということは……ノズル先端で11.8L吐出するには給水量が毎分15L以上必要であると言うことがわかりました。

 

必要圧力を計算しよう!

必要な水量が分かったのでこんどは必要な圧力を計算します。

今回使用するノズルは適切な噴霧を得るにはノズル先端で1.5MPaの圧力が必要です。

もう一度メーカーHPを覗いてみましょう。

三機種とも圧力が4.0MPaですね。ということは必要圧力が1.5MPaのノズルは使用出来そうですね!

と! 思いきやここにも罠が潜んでいます。

動噴の吐出口で4.0MPaの圧力が出ているのですが、そこからノズルまでスプレーホースでつなぎますよね?

鍵になるのはこのスプレーホースの長さと、動噴の設置場所と作業場所の高低差です。

使用するスプレーホースが長ければ長いほど、ホース内部と薬液の摩擦抵抗によりノズル先端での圧力が低下します。おおよそホース100Mにつき0.8MPaほど降圧します。今回は100ホースを2本繋いで2人作業ですが、繋ぐホースの本数は圧力にそう大きく影響を及ぼさないので、4.0MPaから0.8MPaの降圧でノズル先端で3.2MPaの圧力ですね。

(8.5mmホースを基準とした値です。ホースの内径によって降圧する値も変化します。)

 

続いて高低差です。

動噴の設置位置より低い圃場で噴霧する場合には加圧されるのですが、動噴の位置より高い場所で作業する場合にも降圧が発生します。

下から上へ水を押し上げるので当然ですね。高低差100mにつきおおよそ1.0MPa降圧します。今回は動噴より50m高い場所で噴霧するので半分の0.5MPaの降圧ですね。

(逆に100m低い場所で噴霧すると1.0MPa加圧されます。)

ここまで出てきた数値を足し算していくと必要な動噴の圧力が分かります。

ノズルの必要圧力1.5MPa + ホース長の降圧0.8MPa + 高低差の降圧0.5MPa = 必要圧力2.8MPa となります。

他にもいろんな要因で降圧してしまうので余裕を見て最高圧力3.5MPa以上あると安心ですね!

 

ということで、今回の使用環境で必要な動噴の能力は以下のようになりました。

給水量:15L/分以上

最高圧力:3.5MPa以上

この条件から、今回の作業にマッチするのは給水量、圧力共にクリアした上記の機種が選定できました。

上記のスペックの動噴であれば、最初に上げた作業環境でもノズル先端で充分な圧力と水量を確保できるので、最適な噴霧を得ることが可能です。また、水量にも少々余裕があるので鉄砲ノズルなどの水量を要求されるノズルにも対応可能です。

 

まとめ

いかがでしたか?

基本的に動噴選びは実際の使用環境から今回のように必要な給水量と最高圧力を算出し、その条件を元に機種の選定を行うのがおすすめです。

今回はセット動噴を例にお話しましたが、使用環境を元に必要な能力を算出して選定するやり方は背負い動噴でもキャリー式でも同じです。

また、今回の選定条件をマスターすれば、現在お手持ちの動噴でどのノズルが使用可能かも選別できちゃうので非常に便利です。

覚えておいて損無しの動噴選びのポイント、是非ご活用ください!

更に詳しく!

用途別の噴霧器選びの解説ページはこちら↓↓↓

 

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