
防虫ネットの選び方で失敗していませんか?
防虫ネットは、目合いが細かいほど多くの害虫を防げるように見えます。しかし、必要以上に細かい目合いを選ぶと、通気性が低下して施設内やトンネル内の温度・湿度が上がりやすくなります。
一方、目合いが粗すぎると、対象とする害虫がネットを通過する可能性があります。
防虫ネット選びで重要なのは、作物名だけで一律に決めるのではなく、防ぎたい害虫を特定し、その成虫・有翅虫の侵入を抑えられる目合いを選ぶことです。
この記事では、農林水産省、農研機構、全農などの公開資料をもとに、害虫別・作物別の目合いの目安と、幅・長さの選び方を整理します。
防虫ネットの選び方でよくある失敗
目合いを必要以上に細かくする
目合いを細かくすると、小さな害虫の侵入を抑えやすくなります。一方で、一般にネットの開口部が小さくなるため、通気性は低下します。
- トンネル内・施設内の温度が上がりやすい
- 湿度が高くなりやすい
- 換気条件によっては作物の生育に影響する
防虫性だけでなく、栽培時期、設置場所、換気条件も考えて選びましょう。
対象害虫と目合いが一致していない
ネットの目合いは、害虫の体長だけを見て決めるものではありません。害虫の種類、体幅、発育段階、ネットの形状、設置状態などによって通過のしやすさが異なります。
また、成虫の侵入を抑えられる目合いでも、ネットと葉が接触していると、ネット越しに産卵された卵から孵化した幼虫が侵入する場合があります。
この記事の目合いは、主に成虫・有翅虫の侵入を抑えるための目安です。完全な防除を保証する数値ではありません。
裾や継ぎ目にすき間がある
適切な目合いを選んでも、ネットの裾、出入口、継ぎ目などにすき間があれば、そこから害虫が侵入します。
- 必要な幅と長さを事前に測る
- 裾を土や固定具で確実に押さえる
- ネットを継ぐ場合は接合部を十分に重ねる
- 設置前にネット内の害虫や卵を確認する
防虫ネットの基本|目合いは「防ぎたい害虫」から選ぶ
防虫ネットの主な役割は、害虫の成虫・有翅虫が作物へ近づくことを物理的に抑えることです。農薬による防除を補完する資材としても利用されます。
目合いを選ぶときは、次の順番で考えます。
- 作物に発生しやすい害虫を確認する
- 今回、重点的に防ぎたい害虫を決める
- 対象害虫に対応する目合いを確認する
- 複数の害虫を対象にする場合は、必要な範囲で細かい目合いを選ぶ
- 通気性、栽培時期、設置場所とのバランスを確認する

害虫別|おすすめ目合いの目安
害虫別の目合いは、次の表を目安にしてください。同じ「アブラムシ類」「アザミウマ類」でも種類や製品条件によって効果が異なるため、幅を持たせて記載しています。

| 対象害虫 | 目合いの目安 | 選定時のポイント |
|---|---|---|
| コナジラミ類 | 0.4mm以下 | 微小害虫です。0.4mmでも侵入を完全に防げない場合があります。 |
| アザミウマ類 | 標準ネットは0.4mm以下 | 赤色ネットでは、製品や対象種によって0.6~0.8mmでも侵入抑制効果が報告されています。 |
| アブラムシ類 | 0.4~0.6mm以下 | 種類によって必要な目合いが異なります。0.4mmでも完全に防げない場合があります。 |
| ハモグリバエ類 | 0.6mm以下 | 比較的小さな害虫です。0.8mm以上では通過する場合があります。 |
| キスジノミハムシ | 0.6mm以下 | アブラナ科野菜で注意したい害虫です。0.8mmでは侵入する場合があります。 |
| コナガ成虫・カブラハバチ成虫 | 1.0mm以下 | 成虫の侵入抑制の目安です。孵化直後の幼虫は細かいネットを通過する場合があります。 |
| モンシロチョウ・ヨトウガ類などの大型チョウ目成虫 | 2~4mm程度 | 大型害虫だけを対象にする場合の目安です。小型害虫は通過します。 |
| カメムシ類 | 2~4mm程度 | 種類や体の大きさに差があります。対象種と製品仕様を確認してください。 |
複数の害虫を同時に対象にする場合は、最も小さい対象害虫に合わせて目合いを選ぶ方法があります。ただし、細かくするほど通気性が下がるため、必要以上に細かい目合いを選ばないことも大切です。
目合い別|防虫ネットの特徴
2~4mm程度の防虫ネット
- 主な対象:モンシロチョウ、ヨトウガ類などの大型チョウ目成虫、比較的大型のカメムシ類
- 特徴:目合いが粗く、比較的通気性を確保しやすい
- 注意:コナガ、キスジノミハムシ、アブラムシ類などの小型害虫は通過する
1.0mm前後の防虫ネット
- 主な対象:コナガ成虫、カブラハバチ成虫など
- 特徴:0.6mmや0.4mmより通気性を確保しやすい
- 注意:ハモグリバエ類、キスジノミハムシ、アブラムシ類などは通過する場合がある
0.8mm前後の防虫ネット
- 主な用途:1.0mmより小型の害虫まで侵入抑制を広げたい場合
- 特徴:防虫性と通気性の中間的な規格
- 注意:キスジノミハムシやアブラムシ類などは通過する場合がある
0.6mm前後の防虫ネット
- 主な対象:ハモグリバエ類、キスジノミハムシ、一部のアブラムシ類
- 特徴:アブラナ科野菜で問題になる複数の害虫に対応しやすい
- 注意:アザミウマ類には十分な侵入抑制効果が期待できず、アブラムシ類も種類によって通過する
0.4mm以下の防虫ネット
- 主な対象:コナジラミ類、アザミウマ類、小型のアブラムシ類
- 特徴:微小害虫やウイルス媒介虫の侵入抑制を重視する場合に使用される
- 注意:通気性が下がりやすく、0.4mmでも微小害虫を完全に防げるとは限らない
赤色防虫ネットは別に考えます。対象となるアザミウマの種類や製品仕様によっては、0.6~0.8mmでも白色の細目ネットと同等程度の侵入抑制効果が報告されています。購入時は、メーカーが示す対象害虫と試験結果を確認してください。
防虫ネットを目合い別で探す
防ぎたい害虫から目合いを決めたら、下記の商品一覧から候補を確認できます。リンク先では、必要な幅や長さに合わせて商品を絞り込めます。
| 目合い | 主な選定目安 | 商品一覧 |
|---|---|---|
| 0.4mm | コナジラミ類、標準ネットでのアザミウマ類など、微小害虫対策を重視する場合 | 0.4mm目の商品一覧を見る |
| 0.6mm | ハモグリバエ類、キスジノミハムシ、一部のアブラムシ類などを対象にする場合 | 0.6mm目の商品一覧を見る |
| 0.8mm | 1.0mmより小型の害虫まで侵入抑制を広げながら、通気性とのバランスも考えたい場合 | 0.8mm目の商品一覧を見る |
| 1.0mm | コナガ成虫、カブラハバチ成虫などを対象にし、比較的通気性も確保したい場合 | 1.0mm目の商品一覧を見る |
目合いを決めた後は、幅と長さも確認してください。トンネル掛けでは、畝幅だけでなく、支柱に沿ったアーチ部分と左右の裾を固定する余裕が必要です。測り方は「防虫ネットの幅・長さの選び方」で確認できます。
作物別|防虫ネットの選び方
作物名だけで目合いを一律に決めることはできません。同じ作物でも複数の害虫が発生し、それぞれ必要な目合いが異なるためです。
まず作物に発生している害虫を確認し、次の表から目合いの候補を絞り込みましょう。

| 作物例 | 主な害虫 | 目合いの目安 |
|---|---|---|
| キャベツ・ハクサイ・ブロッコリー | コナガ成虫 | 1.0mm以下 |
| キャベツ・ハクサイ・ブロッコリー | キスジノミハムシ | 0.6mm以下 |
| キャベツ・ハクサイ・ブロッコリー | アブラムシ類 | 0.4~0.6mm以下 |
| キャベツ・ハクサイ・ブロッコリー | モンシロチョウ成虫 | 2~4mm程度 |
| コマツナ・ミズナ・チンゲンサイ | キスジノミハムシ | 0.6mm以下 |
| コマツナ・ミズナ・チンゲンサイ | アブラムシ類 | 0.4~0.6mm以下 |
| ネギ・タマネギ | アザミウマ類 | 標準ネットは0.4mm以下。赤色ネットは製品により0.6~0.8mmも選択肢 |
| トマト・ミニトマト | コナジラミ類 | 0.4mm以下 |
| ナス・ピーマン | アザミウマ類・コナジラミ類 | 0.4mm以下 |
| エダマメ | カメムシ類 | 2~4mm程度。対象種を確認 |
例えば、キャベツでモンシロチョウだけを対象にする場合と、キスジノミハムシやアブラムシ類まで対象にする場合では、必要な目合いが異なります。
複数の害虫を対象にする場合は、重点的に防ぎたい害虫と通気性のバランスを考えて決めてください。
防虫ネットの幅・長さの選び方
必要な幅を確認する
トンネル掛けに使用する場合は、表示されている畝幅だけでなく、支柱に沿ったアーチ部分と、左右の裾を固定するための余裕が必要です。
- 畝幅
- トンネルの高さ
- 支柱に沿った長さ
- 左右の裾を固定する余裕
使用する支柱へメジャーを沿わせ、実際に必要なネット幅を測ってから商品を選ぶと確実です。
必要な長さを確認する
必要な長さは、畝や施設の実長に、両端を閉じて固定するための余裕を加えて考えます。
- 長い畝や複数の畝:長尺ロールを切り分けると接合部を減らしやすい
- 短い畝や小規模な家庭菜園:必要量に近い短尺品の方が無駄を抑えやすい
- ネットを継ぐ場合:十分に重ね、すき間ができないよう固定する
50m・100mの商品が必要かどうかは、圃場規模と施工する総延長によって判断してください。「農業用だから必ず50m以上」という基準ではありません。
用途別に防虫ネットを探す
目合いだけでなく、幅、長さ、色、材質、設置方法を確認して選びましょう。
防虫ネット選びの実務チェックリスト
- 対象害虫を特定する:作物名だけで決めず、圃場で問題になっている害虫を確認します。
- 目合いを決める:成虫・有翅虫の侵入抑制目安を参考にします。
- 通気性を確認する:必要以上に細かい目合いを選ばないようにします。
- 幅と長さを測る:裾や両端を固定する余裕も含めます。
- 設置方法を確認する:裾、継ぎ目、出入口にすき間を作らないようにします。
- 製品固有の性能を確認する:赤色ネットなどはメーカーが示す対象害虫と試験条件を確認します。
まとめ|迷ったら作物ではなく対象害虫から選ぶ
防虫ネットは、「葉物野菜なら0.6mm」のように作物だけで一律に決めるのではなく、重点的に防ぎたい害虫から目合いを選びます。
- コナジラミ類・アザミウマ類:標準ネットは0.4mm以下が目安
- ハモグリバエ類・キスジノミハムシ:0.6mm以下が目安
- コナガ成虫・カブラハバチ成虫:1.0mm以下が目安
- モンシロチョウなど大型のチョウ目成虫:2~4mm程度が目安
- アブラムシ類:種類によって0.4~0.6mm以下。完全な侵入防止は難しい場合がある
目合いが細かいほど防虫性は高まりやすい一方、通気性は低下します。対象害虫、栽培時期、換気条件、施工方法を合わせて判断しましょう。
農家向け防虫ネット一覧
長尺ロールや業務用途に適した製品を含め、アグリズの防虫ネットはこちらから確認できます。










